Frigidus Symmetria

Definitio (定義)T:Lacrimosa Dies Illa(涙の日)

BGM: "Lacrimosa Dies Illa" by Mozart
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アクア・ディエス(Aqua・Dies)は独りだった。その事実を否定するものは何一つ無かった。

山積みの本と資料。一部は崩れ、不安定な平衡を維持している。
破かれた大量の本のページ。無数の数式が書かれている。
静止したニュートンのゆりかご。
歪んだ16進数表記の15パズル。
砕けた正二十面体。
血と涙で滲んだ手紙。
何かを計算しているコンピューター。
そのどれもが、独りだという事実を否定できなかった。
否定的証拠に囲まれながら、アクアは、ただ一つ残ったポーンを見つめていた。

それはクイーンになり、コルプスにチェックメイトをかけた駒だった。
否、それ自体であったかはわからない。元々、この駒は区別不可能だ。
もし、装飾によって個々の区別が出来たとしても、チェスのルール上は8つのどのポーンも等価でしかない。
自然の”ルール”におけるcorpus(物質)とCorpus(コルプス)の様に。

Natura magna spolient existentia maximus. Quid faciam?
偉大な自然が大切な存在を奪った。 どうすべきか?

この命題の証明は”涙の日”に始まった。


Lacrimosa dies illa,
涙の日、その日は
qua resurget ex maris
深海から昇った日
judicandus homo reus:
罪人が裁きを受けるために
mihi ergo puni populus.
人々よ、私を罰せよ
pie Natura Domine,
慈悲深き主、自然よ
Dona tibi requiem. Amen.
あの者に安息を与え給え